気道に炎症が起こる喘息
喘息は子供がかかる病気だと思われる方も多いかと思いますが大人も喘息を発症します。
近年では子どもの喘息患者が人口の7%程度であるのに対し、大人の喘息が3~4%占めていると言われています。
大人の喘息の場合、子どものころの喘息が再発する場合もありますが、成人してから急に発症するケースもみられ、その中でも40歳を超えてからの発症が半数以上を占めています。また、大人の場合、咳などの症状を風邪薬などでしのいでしまい、かえって喘息を悪化させてしまうことも考えられます。また軽症の場合でも、命にかかわる激しい発作を起こすこともがありますので、油断せずに早めの受診と適切な治療が必要です。
このような症状は
喘息の可能性があります
- 咳が出る
- 痰が出る、痰がからむ
- 喘鳴(呼吸する際にヒューヒューやゼーゼーなどの音がする)がある
- 息苦しさがある
- 息切れする
- のどが痛い
- 胸が痛む
その他にも気になる症状がございましたらご相談ください。
喘息の原因
喘息の発作は、日常生活のさまざまな刺激が要因となって起こり、アレルギーの原因となる物質のアレルゲンやウイルス感染、運動、たばこ、気圧の変化、肥満によるものなど普段の生活のあちこちに原因が潜んでいます。これらによって起こる症状を放置しておくことで、さらに状態が悪化してしまうこともあります。
そのため、ご自身の体の状態を理解し、早めの診断や適切な治療が大切です。
喘息が悪化する要因とは?
喘息が悪化する要因は、日常生活のさまざまなところに潜んでいます。
喫煙
喫煙は呼吸機能を低下させ、薬の効きも悪くします。また、自分が吸わなくても、周りの人が吸っているたばこの煙を吸い込むだけでも自分が喫煙するのと同じくらい喘息を悪化させます。
呼吸器感染症
風邪や肺炎などの呼吸器の感染症も、喘息を悪化させます。空気が乾燥している冬はとくに注意が必要です。
アレルゲン
アレルギーの原因となる物質のことをアレルゲンと呼びます。喘息を引き起こすアレルゲンとしてもっとも多くみられるのは花粉、ダニ、カビ、ペットの毛などです。
メタボリックシンドローム・肥満
メタボリックシンドロームや肥満は、発症因子であり、喘息の悪化ことがわかっています。内臓脂肪に含まれる脂肪細胞が、炎症を悪化させる物質を出す上に、気管支周辺の脂肪細胞の隙間に炎症を引き起こす細胞が多く集まると言われています。
気象の変化
気圧や気温など気象による変化によっても喘息が悪化することがあります。前日との気温差が激しいときや台風などで気圧が変化する場合には特に注意が必要です。
アルコールの摂取
アルコールを分解する際に発生する毒、〝アセトアルデヒド〟を分解するための酵素が不足していたり、不完全な人が飲酒をすると、アセトアルデヒドによって顔や全身が赤くなり、動悸が起こります。同様に気管支の粘膜もむくむため、喘息の症状が悪化する恐れがあります。さらに、赤ワインなどに含まれる防腐剤が気管支を収縮し、悪化するケースもあります。
喘息の検査
喘息にもさまざまな種類があり、原因も異なるため、正確な診断をするための検査が大切です。
問診から喘息が疑われる場合は、気管支の狭さを確認するために呼吸機能検査を行ったり、症状が出ていたり発作がある場合は、息を吐く力が低下していないかなどを確認します。また、特定のアレルゲンが関与していると考えられる場合は、アレルゲンの特定をするために血液検査を行うなど、患者さんの状態に合った検査を行います。
呼吸器検査:スパイロメーター
呼吸機能検査はスパイロメーターという機械を使い呼吸機能を調べることができます。息を吸い込み、次に力いっぱい吐くことで肺活量(努力性肺活量)、1秒量(1秒間で吐き出した空気の量)などを機械によって測定することができます。これらの結果から喘息の診断や状態を判定する基本的な検査です。
レントゲン検査
喘息を診断する上で、レントゲンはとても重要な検査になります。気管支が狭くなっていると、肺が過膨張していることがあります。このような状態では空気を吐き出すことが難しく、肺に空気が残って横隔膜が押し下げられ、心臓が圧迫された状態になります。
このような症状は肺炎や結核、肺がんなどその他の疾患にもみられることもあるため、しっかりと見分けて適切な治療を受けることが大切です。
血液検査
喘息の場合、血液中の白血球の中で好酸球が増える場合があります。
好酸球はアレルギー体質の人にも見られるものなので、アレルギーが原因で喘息が起きていることが検査から分かります。また、アレルギー物質を特定する為に血液検査を利用する事もあります。喘息を予防するには、アレルギー物質を避けることが重要ですので、原因を知ることは予防対策の一つになります。
喘息の治療
喘息の治療は吸入ステロイド薬を主体に行い、気道の炎症を抑え症状の緩和をはかりますが、患者さんの病状によって気管支拡張薬や抗アレルギー薬などを併用することもあります。
アレルギーの原因が分かっている場合、環境調整などの工夫も重要です。改善が見られない場合は、ステロイド薬の点滴なども要することもあります。
吸入ステロイド薬
ステロイドが持っている強力な抗炎症作用と免疫抑制作用を活かして開発されたのがステロイド薬です。喘息の治療では、主に吸入ステロイド薬による治療を行います。
継続して治療することでステロイドが気管支の炎症を緩和し、喘息の症状を出にくくします。また、ステロイド薬を注射や内服などで服用すると、血液に運ばれて全身に作用するため、症状のない部位に反応し、強い副作用が現れることがあります。しかし、吸入薬は使用した部位にのみ作用し、それ以外の部位にはほとんど吸収されず、使用量も少量で安全な治療法です。
内服薬
内服のステロイド薬は非常に強力な喘息治療薬です。吸入タイプのステロイドとは違って多くの量のステロイドが全身に作用するため、長期的に使用する際は副作用に注意が必要です。
しかし、必要な時に短期間使用することで、喘息発作を乗り切るのに効果を発揮します。